宮崎県に本社を置くソラシドエアは、2011年にスカイネットアジア航空から社名変更し、現在は九州方面を中心に就航している航空会社です。大手航空会社と比べて割安な運賃設定が特徴的ですが、その分「安全性は大丈夫なのか」と不安に感じる方も多いようです。
2022年7月に那覇発石垣行きの便で客室乗務員が骨折する事故があり、また2021年には国土交通省から行政指導を受けるなど、心配される出来事もありました。しかし、保有する14機の航空機は全て2011年以降の新造機で、定時運航率は世界2位を誇るなど、安全性への取り組みも着実に行われています。
記事のポイント！
- ソラシドエアの安全性に関する実際の事例と対策
- 航空機の機体整備や運航体制について
- 格安な運賃設定と安全性の両立方法
- サービス面での特徴と利用時の注意点
ソラシドエアは本当に危ないのか？実際の安全性を徹底解説
- 2022年の航空事故は客室乗務員1名の骨折事故のみ
- 航空機の機体は2011年以降の新造機を使用
- 機体の安全性は国の基準を満たした整備で確保
- 遅延や欠航は定時運航率で世界2位を獲得
- 国土交通省から2021年に行政指導を受けた経緯あり
- 小型機だが揺れやすさに影響はなし
2022年の航空事故は客室乗務員1名の骨折事故のみ
2022年7月16日、那覇発石垣行きのソラシドエア41便で機体が大きく揺れ、客室乗務員が転倒して左足の甲を骨折する事故が発生しました。事故当時はシートベルトの着用サインが消灯していた状態でした。
この事故は国土交通省により航空事故と認定され、運輸安全委員会から航空事故調査官3名が指名されました。乗客にけがはなく、午前9時4分に予定通り新石垣空港に到着しています。
事故後の点検で機体に損傷は見つかりませんでしたが、乗務員の欠員により16日に4便、17日には6便が欠航となり、1000人以上の乗客に影響が出ました。
ソラシドエアは欠航による影響について謝罪を行い、安全運航に向けた取り組みを強化しています。
前身のスカイネットアジア航空時代から現在まで、この事故以外の重大インシデントは報告されていません。
航空機の機体は2011年以降の新造機を使用
ソラシドエアが使用している航空機は全14機で、全てボーイング737-800型機に統一されています。
この機種は1997年に製造が開始された比較的新しい機体で、JALやANAも地方路線で使用している標準的な機種です。
ソラシドエアが保有する14機は全て2011年以降に登録された新造機です。航空機の一般的な耐用年数は25年とされており、現時点でもまだ十分に新しい機体といえます。
一時期、この機種で墜落事故が相次いだことがありましたが、調査の結果、機体の欠陥ではなくパイロットの経験不足や整備不良が原因と結論付けられています。
その後、フライト数に応じた定期検査が義務付けられ、安全性が強化されています。
機体の安全性は国の基準を満たした整備で確保
ソラシドエアでは「社長宣言」を掲げ、安全への取り組みを安全報告書で公開しています。
整備士には資格取得を推奨するとともに、有資格者には定期的な訓練を実施し、進化する機体への対応力を維持しています。
整備不良や機内点検の不備を防ぐため、十分な人員を確保し、有資格者を半数以上配置する体制を整えています。
パイロットにはフライトシミュレーターでの技能審査を年2回、路上での審査を年1回実施し、判断力の向上に努めています。
客室乗務員や地上業務従事者にも年数回の技能審査や救命訓練を義務付け、常に安全意識を保つ体制を構築しています。
遅延や欠航は定時運航率で世界2位を獲得
2022年、ソラシドエアはLCC部門で世界2位の定時運航率を達成しました。2021年は1位を獲得しています。
以前は遅延が多いという評価もありましたが、近年は大幅に改善されています。
大手航空会社と比べて路線や保有機材が少ないため、一度遅延が発生すると後続の便にも影響が出やすい傾向にあります。
宮崎空港では、最終便の到着が遅れた場合、JRやバスの運行時間を調整して対応することもあります。
路線数が限られていることはデメリットとなりますが、定時運航への取り組みは着実に成果を上げています。
国土交通省から2021年に行政指導を受けた経緯あり
2021年9月3日、ソラシドエアは国土交通省から厳重注意（行政指導）を受けました。
この指導は2020年10月26日の那覇発名古屋行き70便と2021年3月25日の那覇発鹿児島行き84便で、客室乗務員が乗務前のアルコール検査を未実施のまま乗務したことが原因です。
さらに2021年3月25日の便では、複数の客室乗務員が飛行勤務開始前の禁酒時間内に飲酒していたことも判明しました。
この事態を受けて、ソラシドエアは安全管理システムの見直しと再発防止策の策定を行いました。
経営の基盤である安全を改めて重視し、全社を挙げて信頼回復に取り組んでいます。
小型機だが揺れやすさに影響はなし
ソラシドエアが使用するボーイング737-800は、JALやANAの機体と比べると小型ですが、揺れやすさに違いはありません。
民間旅客機の場合、セスナのような単発の小型機でない限り、機体の大小と飛行中の揺れには関係がないことが分かっています。
全ての飛行機に共通することですが、前方よりも後方の座席の方が揺れを感じやすい傾向にあります。
機体が小さいことで配置する乗務員数を減らすことができ、コスト削減にもつながっています。
搭乗時の荷物の積み下ろしや乗客の乗り降りも、大型機に比べて短時間で済むメリットがあります。
ソラシドエアが安いのに危なくない3つの理由
- ANAのシステムを活用し安全性を確保
- 機体を1種類に統一して整備精度を向上
- 無駄なコストカットを避けて安全性を重視
- 事前予約で最大75日前から格安料金で予約可能
- 座席は大手航空会社より広めの81cmを確保
- 預け入れ荷物は20kgまで無料で対応
- まとめ：ソラシドエアが危ないという誤解の真相と実態
ANAのシステムを活用し安全性を確保
ソラシドエアはANAのシステムを活用することで、独自のシステム開発にかかるコストを削減しています。
羽田・福岡・那覇空港では、ANA自動手荷物預け機の利用が可能で、スムーズな荷物預けにも対応しています。
ANAとのコードシェア便を運航しており、ANAの予約システムからソラシドエアの便を予約することもできます。
2021年にはANAのシステムダウンに巻き込まれる事態もありましたが、その際は地上職員が手作業で対応し、運航への影響を最小限に抑えました。
ANAのシステムを利用することで、予約から搭乗までの一連の流れをスムーズに提供しています。
機体を1種類に統一して整備精度を向上
ソラシドエアはボーイング737-800型機のみを使用することで、機体整備の効率化を図っています。
機種を統一することで、必要な部品の在庫管理が容易になり、整備士の専門性も高めやすくなっています。
パイロットのライセンスも1種類で済むため、人材育成の面でも効率的な運営が可能です。
キャビンアテンダントも1種類の機体に特化した訓練を受けることで、高い専門性を身につけています。
この機体統一による効率化は、安全性の向上とコスト削減の両立に貢献しています。
無駄なコストカットを避けて安全性を重視
ソラシドエアは安全に関わる部分では決してコストカットを行わず、必要な投資を継続しています。
安全管理システムの運用や、乗務員の訓練プログラムなど、安全に直結する部分は大手航空会社と同等の水準を維持しています。
機内清掃を客室乗務員が行うなど、安全に影響のない部分でコスト削減を実施しています。
上級会員向けのラウンジサービスなど、付加的なサービスを抑えることで、基本的なサービスの質を保っています。
安全とサービスのバランスを考慮した運営方針が、低価格と安全性の両立を可能にしています。
事前予約で最大75日前から格安料金で予約可能
ソラシドエアは「バーゲン75」という75日前からの早期割引運賃を提供しています。
通常運賃と比べてJAL・ANAより3000円～6000円ほど安い価格設定となっています。
バーゲン60、バーゲン35、バーゲン28、バーゲン14など、予約時期に応じた多様な割引運賃を用意しています。
期間限定の「ソラシドスペシャル」では、さらにお得な価格で航空券を購入することができます。
65歳以上のシニア割引や学生割引など、利用者の属性に応じた割引運賃も提供しています。
座席は大手航空会社より広めの81cmを確保
ソラシドエアの座席間隔は81cmで、JAL・ANAの国内線の平均79cmより広めに設計されています。
1列あたり3-3の座席配置で、快適な空間を確保しています。
全席にリクライニング機能を備え、長時間のフライトでも快適に過ごせる環境を整えています。
機体の小型化によってコストを抑えながらも、座席の快適性は妥協せずに維持しています。
座席の設計は乗客の快適性を重視し、LCCとは異なる基準で整備されています。
預け入れ荷物は20kgまで無料で対応
ソラシドエアでは、一人当たり20kgまでの手荷物を無料で預けることができます。
預け入れ荷物の個数制限はなく、合計重量が20kg以内であれば複数の荷物も無料で預けられます。
機内持ち込み手荷物は、3辺の和が115cm以内かつ10kgまでの荷物を1つ持ち込むことが可能です。
手荷物の大きさは縦・横・高さの3辺の合計が203cmまでと、一般的な旅行用スーツケースにも対応しています。
荷物の制限は大手航空会社と同等の基準で、追加料金なしで利用できる点が特徴です。
まとめ：ソラシドエアが危ないという誤解の真相と実態
最後に記事のポイントをまとめます。
- 2022年の唯一の事故は客室乗務員の骨折事故のみで、乗客への被害はなし
- 全14機の航空機は2011年以降の新造機を使用
- 定時運航率はLCC部門で世界2位を獲得
- ANAのシステムを活用し、安全性と効率性を確保
- 全機材をボーイング737-800に統一し、整備精度を向上
- 座席間隔は81cmで大手航空会社より広い設計
- 預け入れ荷物は20kgまで無料で対応
- 75日前から予約可能な割引運賃を提供
- 安全に関わる部分では徹底的な品質管理を実施
- 2021年の行政指導を受けて安全管理体制を強化
- 機体の小型化は揺れとは無関係
- コストカットは安全に影響しない範囲で実施
