LCCの利用が拡大する中で「客層が悪い」という声をよく耳にしませんか?価格の安さから「安かろう悪かろう」というイメージを持たれがちなLCC(Low Cost Carrier/格安航空会社)ですが、実際の利用者層はどのような人たちなのでしょうか。マナーの問題から旅行スタイルの違い、さらには経済効果まで、データに基づいた実態を探ってみましょう。

LCCの登場により、航空旅行のハードルが下がり、新たな旅行需要が生まれています。調査によれば、LCCはFSC(フルサービスキャリア/従来型航空会社)と比較して地方への入込客の割合が大きく、個人客や若年層の利用者増加といった客層の変化も見られます。また、最近ではLCCを利用した団体旅行商品も登場し、利用者層の多様化が進んでいます。
記事のポイント!
- LCCとFSCの客層の違いとその背景について理解できる
- LCC利用者に関する実際のデータや調査結果を知ることができる
- LCCに対するネガティブな印象の真偽と実態について学べる
- LCCを快適に利用するためのポイントと今後の展望が分かる
LCCの客層とはどのような特徴があるのか
- LCCとFSCの客層には実際に違いがある
- LCCは価格重視の層や新たな旅行者を取り込んでいる
- LCCでは個人旅行者が多く旅行スタイルに変化が見られる
- LCC利用者は若年層や小資族が中心だが多様化している
- LCCの客層は地方への入込客の割合が高い
- LCCにはマナーの悪い乗客が目立つという意見もある
LCCとFSCの客層には実際に違いがある
LCC(Low Cost Carrier)とFSC(Full Service Carrier)の間には、利用する客層に明確な違いが存在します。調査によれば、LCCはFSCと比較して価格感度の高い層、つまり価格を重視する利用者が多い傾向にあります。
LCCとFSCの価格差は、特に地方路線において顕著であることが分かっています。この価格差が、それぞれの航空会社を選ぶ客層の違いに直結しているのです。「安い運賃で移動したい」というニーズに応えるLCCは、従来は飛行機での移動を諦めていた「相応の運賃を出せない客」をターゲットにしています。
一部のユーザーからは「LCCは客層が悪い」という声も聞かれます。Yahoo!知恵袋の投稿では、LCCでは「マナーの悪い乗客ばかり」「他の乗客にキレる客」などが見られるという意見が寄せられています。一方で、「たまたまではないか」「変な客はFSCにもいる」といった反論も見られます。
FSCとLCCの客層の違いは、サービスの違いと価格設定に起因していると考えられます。小売業界においても、デパートの高級ブランドと近所のスーパーでは客層が異なるように、サービスの価格帯と客層の質には相関関係があるという見方もあります。
ただし、これらの違いは一般化できるものではなく、個人差が大きいことも忘れてはなりません。実際のところ、LCCを利用する客層は年々多様化しており、一概に「悪い」と決めつけることはできないでしょう。
LCCは価格重視の層や新たな旅行者を取り込んでいる

LCCの最大の特徴は、その低価格にあります。この低価格戦略によって、LCCは新たな航空旅行需要を生み出しています。調査によると、LCCの新規需要誘発は16.2%~18%程度で、空港間の差はあまり見られないとのことです。
具体的には、「LCCがなければ旅行しなかった」という層を取り込むことに成功しています。これは、従来は高額な航空運賃が障壁となって旅行を諦めていた層が、LCCの登場によって航空旅行にアクセスできるようになったことを意味します。
価格面では、LCCとFSCの間には明確な差があります。例えば、旅行商品においては、LCCを利用した商品はFSCを利用したものと比較して1~2割程度安くなる傾向があります。この価格差が、コストを重視する層にとって大きな魅力となっています。
また、LCC利用者のうち新規誘発利用者の一人あたりの旅行消費額は、FSC転換利用者よりも少ないことも分かっています。これは、LCCが価格に敏感な層を中心に取り込んでいることの表れと言えるでしょう。
しかし、単純に「安いから選ばれている」というだけではありません。LCCの拡大により、従来のパッケージツアーとは異なる、より自由度の高い旅行スタイルが普及したことも、新たな需要創出につながっていると考えられます。
LCCでは個人旅行者が多く旅行スタイルに変化が見られる
LCCの普及に伴い、旅行のスタイルにも変化が見られるようになりました。特に顕著なのは、個人旅行者の増加です。地方空港へのヒアリング調査によれば、LCCの就航により、大型ツアーだけでなく個人客や若年層の利用者が増加するという客層の変化が確認されています。
この客層の変化は、旅行先での消費行動にも影響を与えています。例えば、団体ツアーでは立ち寄らないような地元の商店街や飲食店への客の増加が報告されています。特に奄美大島では、この傾向が顕著に表れているとのことです。
また、宿泊施設の選択にも変化が見られます。LCC利用者の増加により、大型のリゾートホテルだけでなく、小規模な宿泊施設の利用者も増えているようです。さらに、レンタカー利用者の増加も報告されており、これは個人の自由度を重視した旅行スタイルの普及を示しています。
このような変化に対応するため、LCC就航先の地方では個人客への対応体制を整える必要性が高まっています。従来の団体客中心のインフラから、個人旅行者向けのサービスへのシフトが求められているのです。
これらの変化は、単にLCCが「安い」というだけでなく、旅行そのもののスタイルや価値観の変化を反映していると言えるでしょう。LCCの利用者は、より自由で個人の好みに合わせた旅行体験を求める傾向があるのです。
LCC利用者は若年層や小資族が中心だが多様化している
LCCの典型的な利用者層としてよく挙げられるのが、若年層や「小資族」と呼ばれるコスト意識の高い層です。旅行業者の指摘によれば、LCCは早朝や深夜の出発が多いため、体力のある若い世代や仕事を持つ現役世代に好まれる傾向があります。
易遊網によると、LCCは清晨4、5時に空港に到着して手続きを行う必要があるなど、出発時間が早い傾向があり、親子連れや高齢者には不向きな面もあります。しかし、団体費が1~2割安くなるというメリットは、若年層や会社員、予算を重視する層には十分な魅力となっています。
興味深いのは、近年LCCを利用した団体旅行商品も登場し、客層の多様化が進んでいる点です。雄獅旅行社の総経理によれば、LCCと従来型航空の旅行団商品は客層が異なり、LCCは付加価値景点を含まない「半自遊行」として包装され、海外で自由に遊びたい客層に向けて提供されています。
さらに、もう一つのLCC団体旅行の形として、中・高級客層を対象としたものも登場しています。例えば、一部の国の航空会社が運航していない第二、第三線の都市、特に冬のスキーシーズンに人気の高い仙台や花巻などの日本の地方都市への旅行商品です。これらの商品は必ずしも「格安」ではなく、特定の目的やニーズに合わせたものとなっています。
このように、LCCの利用者層は当初考えられていたよりも多様化しており、単純に「若者向け」「予算重視の層向け」と一括りにはできなくなってきています。価格以外の要素、例えば目的地の特殊性なども、LCC選択の重要な要因となっているのです。
LCCの客層は地方への入込客の割合が高い
LCCの興味深い特徴の一つに、地方への旅行者の割合が高いという点があります。国土交通政策研究所の調査によれば、LCCはFSCに比べて地方への入込客の割合が大きいことが分かっています。具体的には、LCCの利用者は約6割が地方への入込客であるのに対し、FSCでは約7割が首都圏や大都市圏への入込客となっています。
この特徴は、地域経済にとって重要な意味を持ちます。同研究所の調査では、LCCの就航による経済波及効果が試算されており、例えば新千歳空港へのLCC就航による北海道への波及効果は年間約70億円、松山空港では愛媛県へ約7億7千万円、大分空港では大分県へ約9億6千万円の経済効果があるとされています。
また、LCCの地方路線は全体の約43%(2014年末時点)を占めています。さらに注目すべきは、2000年代にFSCが撤退した69路線のうち、LCCにより6路線が復活したという事実です。これは、LCCが地方路線の維持・復活に貢献していることを示しています。
FSCとLCCの価格差は、幹線(主要路線)よりも地方路線において大きい傾向があります。この価格差が、従来は航空機を利用できなかった層に地方旅行の機会を提供し、結果として地方への入込客増加につながっていると考えられます。
こうした状況から、LCCは単に「安い航空会社」というだけでなく、地方活性化や地域間交流の促進に寄与する存在としても評価できるでしょう。LCCの利用者は価格だけでなく、アクセスしにくかった地方都市への旅行機会を求めている層も含まれているのです。
LCCにはマナーの悪い乗客が目立つという意見もある
LCCに対する否定的な意見の中で特に多いのが、「マナーの悪い乗客が多い」というものです。実際にLCCを多く利用しているブロガーの記録によると、以下のような「あるある」が報告されています:
- 搭乗してすぐにトイレに行く人(地上でトイレを済ませておけばよいのに)
- 乗り遅れる人(特に3人以上のグループに多い)
- 飛行中にスマホを落とす人
- 写真を過剰に撮り続けるおじさん
- フライト中ずっと動き回る騒がしい女性
- 何度も荷物を出し入れする人
- 窓側の席なのに出発ギリギリに現れる人
- 他人を押しのけてまで早く降りようとする人
Yahoo!知恵袋の投稿では、さらに具体的な体験として、「気持ち悪い」「怖い」と連呼する乗客や、通路側に座っている人に対して「どけどけ」と手招きで指示するような乗客の例が挙げられています。投稿者は、JALやANAではこのような乗客に遭遇したことがないと述べています。
一方で、これらの意見に対して「たまたまではないか」「どの航空会社にも変な客はいる」といった反論も見られます。また、「世の中にはいろんな人がいる」「LCCだからこそこういう人が集まる」といった見方もあります。
VisitorD-BLUEブログの作者は、「LCCの客層もレガシー(従来型航空会社)っぽくないのは何だかなぁ」と感想を述べつつも、これは会社側でコントロールできない部分であると認めています。また、LCCによって搭乗順や降機時のマナーへの対応が異なることも指摘しています。
これらの意見から、LCCには確かにマナーの悪い乗客が目立つという印象があることは否定できません。しかし、それがLCC特有の問題なのか、たまたまの偶然なのかは、個人の経験や視点によって評価が分かれる部分でもあります。

LCCの客層から見る今後の展望と対策
- LCCによる経済効果は地域活性化に貢献している
- LCC旅行団の増加で利用者層が多様化している
- LCCの市場シェアはまだ成長余地がある
- LCCと従来型航空会社の境界線は曖昧になりつつある
- LCCを快適に利用するためのコツと心構え
- LCCを選ぶ際に注意すべきポイントと対処法
- まとめ:LCC客層の実態と今後の動向予測
LCCによる経済効果は地域活性化に貢献している
LCCの就航は、単に旅行者の交通手段の選択肢を増やすだけでなく、地域経済に大きな波及効果をもたらしています。国土交通政策研究所の調査によれば、LCCの就航により新規需要が誘発されることから、相当の経済効果が生じていることが明らかになっています。
具体的な数字を見てみると、新千歳空港へのLCC就航による北海道への波及効果は年間約70億円、松山空港の愛媛県への波及効果は約7億7千万円、大分空港の大分県への波及効果は約9億6千万円と試算されています。これらは決して小さな数字ではなく、地域経済にとって大きな意味を持つものです。
また、LCCの就航は地域の観光産業にも変化をもたらしています。地方空港へのヒアリング調査によれば、LCCの就航により、従来の団体ツアーでは訪れなかったような地元の商店街や飲食店への客の増加が報告されています。特に奄美大島では、この傾向が顕著に見られるとのことです。
さらに、宿泊形態やレンタカー利用の増加など、旅行者の消費行動にも変化が見られます。これらの変化は、より多様な地域企業にビジネスチャンスをもたらし、経済効果の裾野を広げることにつながっています。
このようにLCCは、単なる「安い航空会社」ではなく、地方創生や地域経済活性化の重要なプレイヤーとしての側面も持っています。価格が下がることで航空利用のハードルが下がり、新たな旅行需要が創出されることで、地域経済に好影響をもたらしているのです。
LCC旅行団の増加で利用者層が多様化している
近年注目すべき傾向として、LCCを利用した団体旅行商品の増加があります。従来、LCCは主に個人の背包客(バックパッカー)をターゲットにしていましたが、最近では旅行会社がLCCを活用した団体商品を開発し、新たな客層を取り込んでいます。
聯合晚報の記事によれば、近5年間でLCCの台湾での客運量は平均48%成長しており、市場には「LCCの団体旅行商品」も登場しているとのことです。易遊網の説明によると、LCCを利用した団体旅行は、従来の航空会社を利用したものより1~2割程度安くなるため、若年層や会社員、小資族(コスト意識の高い層)に人気があります。
さらに興味深いのは、LCCを活用した団体旅行が単に「安い」というだけでなく、様々なニーズに応える形で進化している点です。雄獅旅行社の総経理・游國珍氏によれば、LCCと従来型航空会社の旅行団商品は客層が異なり、LCCを利用した商品は「半自遊行」(付加価値景点を含まないツアー)として、自由度を重視する客層向けに提供されています。
また、もう一つのLCC団体旅行の形として、中・高級客層を対象としたものも登場しています。例えば、従来の航空会社が飛ばない二線、三線都市(仙台や花卷など)への旅行、特に冬のスキーシーズンには人気があるとのことです。このような商品は、LCCと言っても同じ機種を使用し、団体向けに食事や荷物も含まれるため、必ずしも「格安」というわけではありません。
このようにLCCを活用した旅行商品の多様化により、LCCの利用者層は背包客やコスト重視の個人旅行者だけでなく、団体旅行者や特定の目的を持った旅行者など、より幅広い層へと拡大しています。これはLCCの客層が多様化していることの明確な証拠と言えるでしょう。
LCCの市場シェアはまだ成長余地がある
LCCの市場シェアは着実に拡大を続けていますが、グローバルな水準と比較するとまだ成長の余地があります。聯合晚報の記事によれば、2017年末時点で台湾では21社のLCCが営業しており、国際市場における客運市占率は16.6%に達しています。
しかし、この数字は全球(世界全体)のLCC市占率である25%と比較するとまだ低い水準にあります。つまり、アジア地域におけるLCCの市場シェアには、まだ8.4%ポイントの成長余地があると言えるでしょう。
長榮大学航空管理系の黃泰林教授は、台湾のLCCはこれからも継続的に成長すると予測しています。特に注目すべきは、2018年には日本のLCCである星悦航空(スターフライヤー)が台湾市場に参入する可能性もあるという点です。
LCCの成長を示す具体的な数字としては、2017年末時点で台湾で営業する21社のLCCが年間で902万人の旅客を運び、前年比で25.2%の成長を記録したことが挙げられます。この急速な成長率は、LCCの市場における勢いを示しています。
このようなLCCの成長は、価格に敏感な層だけでなく、より多様な客層を取り込むことで実現しています。例えば、近年ではLCCを利用した団体旅行商品も増えており、単なる「格安志向の個人旅行者」だけでなく、様々なニーズを持つ旅行者がLCCを選択するようになっています。
LCCの市場シェア拡大が続く中で、客層もさらに多様化していくことが予想されます。単純な「価格の安さ」だけでなく、多様な旅行ニーズに応える存在としてのLCCの役割が、今後ますます重要になっていくでしょう。
LCCと従来型航空会社の境界線は曖昧になりつつある

LCCと従来型航空会社(FSC)の間の明確な区別は、徐々に曖昧になりつつあります。長榮大学航空管理系の黃泰林教授によれば、世界的にLCCと従来型航空会社の境界線は次第に不明確になってきており、この傾向は今後も続くと予測されています。
現在のLCCは、機内で追加料金を払えば荷物の預け入れや食事といったサービスを提供しています。黄教授の見解では、LCCが忠誠度の高い消費者を育てることができれば、これらのサービスを従来型航空会社のようにあらかじめ料金に含める形に変更し、チケット価格に反映させる可能性もあります。
一方、従来型航空会社も「低コスト化」する傾向が見られます。主要空港(一線空港)への就航や一部の実店舗は維持しつつも、電子商取引(オンライン予約など)を強化してコスト削減を図り、空席損失を減らすために格安チケットを販売するようになっています。
さらに、アジアでは従来型航空会社がLCCを設立する傾向が強まっています。例えば、中華航空(チャイナエアライン)がタイガーエア台湾を設立したケースがあります。この場合、親会社と子会社のLCCが路線的に衝突しなければ、むしろ補完的な関係となり、「パイを大きくする」効果や、異なる客層を狙うといったメリットがあります。混雑期には需給バランスを取る効果も期待できます。
国際的には、LCCと従来型航空会社の間で「コードシェア」(共同運航)による戦略的提携も増えています。これによりリスク低減やコスト削減が可能になり、収入も増加する可能性があります。例として、AAの戦略的提携では年間収入が5%向上したとのことです。
このように、LCCと従来型航空会社の区別は徐々に曖昧になりつつあり、それぞれが互いの良い面を取り入れる形で進化しています。ただし黄教授は、従来型航空会社には依然として優位性があるとも指摘しています。例えば、空港での発着に好ましい時間帯を持っていることなどが挙げられています。
LCCを快適に利用するためのコツと心構え
LCCを利用する際に、より快適な旅行体験を得るためのコツと心構えをご紹介します。LCCは価格が魅力的である一方、いくつかの不便さも伴います。それらを事前に理解し、適切に対処することで、より満足度の高い旅行が可能になります。
まず、出発時間に注意しましょう。LCCは往々にして早朝や深夜といった「レッドアイ(red eye)」の時間帯に発着することが多いです。易遊網によれば、LCCは早朝4、5時に空港に到着して手続きをする必要があることもあります。このため、前日から空港近くのホテルに宿泊するか、深夜・早朝の交通手段を確保するなどの対策が必要です。
次に、荷物の重量と量に注意しましょう。LCCは基本運賃に荷物の預け入れが含まれていないことが多く、追加料金が発生します。機内持ち込み荷物も厳格に制限されていることが多いため、事前に航空会社のルールを確認し、必要に応じて追加料金を支払うか、荷物を減らす工夫をすることが大切です。
また、機内での快適性を高めるための準備も重要です。LCCは座席間隔が狭いことが多いため、長時間のフライトでは疲れやすくなります。ネックピローや軽い毛布、ノイズキャンセリングヘッドフォンなどを持参すると、快適性が大幅に向上します。
搭乗手続きは早めに済ませましょう。LCCはオンラインチェックインを推奨していることが多く、空港でのチェックインには追加料金がかかる場合もあります。また、多くのLCCは指定席に追加料金を設定しており、事前に座席を選ばないと不便な座席になるリスクがあります。
最後に、心構えとして重要なのは「サービスよりも価格を重視する」という点です。LCCの魅力は何と言っても価格の安さにあります。機内サービスや快適性において従来型航空会社に劣る部分があることを理解し、「価格相応」と割り切る心構えが大切です。
これらのポイントを押さえておくことで、LCCのデメリットを最小限に抑えつつ、リーズナブルな価格での航空旅行を楽しむことができるでしょう。
LCCを選ぶ際に注意すべきポイントと対処法
LCCを選ぶ際には、いくつかの注意点があります。特に、LCCを利用した団体旅行商品を検討している場合は、以下のポイントに留意しましょう。
まず、キャンセルポリシーと変更の柔軟性について確認することが重要です。長汎旅行社の副総経理・蔡錦惠氏によれば、LCCを利用した団体商品を購入する場合、各業者が定めた条件をよく確認すべきだとのことです。特に、日程変更や退団(キャンセル)の際に航空券代金が返金されるかどうかを確認しておくことが大切です。
次に、非主要都市の空港を利用する場合の対応策を考えておくことも重要です。LCCは二線、三線都市の空港を利用することも多く、これらの空港ではフライトの頻度が少ないため、接続や問題発生時の対応の選択肢が限られることがあります。特に冬季の気象条件が悪い場合、空港での長時間待機を強いられるリスクもあります。
また、蔡錦惠氏は、こうした後々のクレームを懸念して、LCCツアーの提供に消極的な旅行会社もあると指摘しています。雄獅旅行社の総経理・游國珍氏によれば、正規の旅行社はLCCの利用制限を排除する方法を見つけることで、団体旅行の定型化契約に適用できるようにしているとのことです。近年では一部のLCCが団体旅行部門を独立させ、これらの問題解決に取り組んでいるとのことです。
LCC選びでもう一つ注意すべき点は、追加料金の確認です。LCCの基本運賃は確かに安いですが、座席指定、荷物の預け入れ、機内食、優先搭乗など、様々なオプションに追加料金がかかることが多いです。最終的な総額を計算する際には、これらの追加料金もしっかり考慮する必要があります。
さらに、空港の立地にも注意が必要です。LCCは主要空港から離れた二次空港を利用することも多く、市街地からのアクセスに時間とコストがかかる場合があります。空港までの交通費と所要時間も含めて総合的に判断することが大切です。
これらのポイントを事前に確認し、適切な対策を講じることで、LCCを利用する際のトラブルやストレスを最小限に抑えることができるでしょう。

まとめ:LCC客層の実態と今後の動向予測
最後に記事のポイントをまとめます。
- LCCとFSCの客層には明確な違いがあり、価格感度の高い層がLCCを選ぶ傾向がある
- LCCは新たな旅行需要を創出しており、新規需要誘発は16.2%~18%程度である
- LCCの利用者は若年層や小資族が中心だが、近年は団体旅行商品の登場などにより多様化している
- LCCの就航により個人旅行者が増加し、地元商店街や小規模宿泊施設の利用増加につながっている
- LCCはFSCに比べて地方への入込客の割合が高く、地域経済に大きな波及効果をもたらしている
- 新千歳空港へのLCC就航による北海道への波及効果は年間約70億円と試算されている
- LCCには「マナーの悪い乗客が多い」という意見がある一方、「どの航空会社にも変な客はいる」という反論もある
- LCCと従来型航空会社の境界線は徐々に曖昧になりつつあり、互いに良い面を取り入れる傾向がある
- 台湾におけるLCCの市場シェアは16.6%であり、世界平均の25%に比べるとまだ成長余地がある
- LCCを快適に利用するためには、出発時間、荷物の制限、追加料金などに注意する必要がある
- LCCを利用した団体旅行商品を選ぶ際は、キャンセルポリシーや変更の柔軟性を確認することが重要である
- LCCの拡大は、観光スタイルの多様化や地方創生にも貢献しているという側面もある