スターラックス航空がついにワンワールドへの加盟に動き出しています!台湾の新興航空会社として成長を続けるスターラックス航空は、2025年末までにワンワールド加盟申請を行う方針を明らかにしました。これにより、JALマイルやJGC特典の活用範囲が広がる可能性が出てきています。

スターラックス航空のワンワールド加盟が実現するかどうかの最大の焦点は、キャセイパシフィック航空の動向です。創設メンバーとして拒否権を持つキャセイパシフィックですが、最近のCEOの発言からは拒否権を行使しない可能性も見えてきました。スターラックス航空の「台湾のエミレーツ航空」を目指すハイクオリティなサービスと日本路線の充実ぶりからも、この加盟は日本の旅行者にとって大きなメリットとなりそうです。
記事のポイント!
- スターラックス航空は2025年末までにワンワールド加盟申請を行う予定である
- キャセイパシフィック航空がスターラックス航空のワンワールド加盟に拒否権を行使するかが焦点となっている
- 加盟が実現すればJALマイルでスターラックス航空の特典航空券が取得できるようになる
- スターラックス航空は台湾の新興航空会社ながら、すでに日本を含む30都市に就航している
スターラックス航空とワンワールド加盟への道のり
- スターラックス航空は2025年末までにワンワールド加盟申請を行う予定
- キャセイパシフィック航空の拒否権は加盟への最大の障壁となっている
- ワンワールドはアジア系航空会社の加盟が少なく新規加盟に期待が高まる
- スターラックス航空加盟によってJALとの提携も実現する可能性がある
- スターラックス航空が加盟すれば台湾は三大航空連合の航空会社が揃う国になる
- 最近のキャセイパシフィックCEOの発言で加盟実現の可能性が高まっている
スターラックス航空は2025年末までにワンワールド加盟申請を行う予定
台湾の新興航空会社スターラックス航空は、2025年末までにワンワールドへの加盟申請を行う方針であることを明らかにしました。2024年9月17日に台北市内で開催された投資家向け説明会で、翟健華(グレン・チャイ)CEOが発表したこの方針は、航空業界に大きな注目を集めています。
スターラックス航空はまだ歴史の浅い航空会社ですが、2020年の就航以来急速に成長を遂げています。台湾にはすでに「スカイチーム」に加盟するチャイナエアライン、「スターアライアンス」に加盟するエバー航空という2社の大手航空会社が存在しているため、スターラックス航空が航空連合に加盟するならば、現時点で台湾の航空会社が1社も加盟していない「ワンワールド」を選択するのは自然な流れだと言えるでしょう。
この発表について、2024年6月の株主総会でも張國煒董事長(会長)が「事態は進行中です」と述べており、「今後2年間でこの目標を達成するために時間をかけて取り組む予定」と語っていました。すでに最近のIATA会議では各アライアンス航空会社と接触を始めており、着実に準備を進めていることがうかがえます。
スターラックス航空は2023年12月に国際航空運送協会(IATA)へ正式加盟を果たしており、国際的な航空会社としての地位を確立しつつあります。2024年10月にはアラスカ航空との初のコードシェア提携も開始し、ワンワールド加盟に向けた準備を着々と進めているようです。
このワンワールド加盟の動きは、「台湾のエミレーツ航空」を目指すスターラックス航空の国際的な展開戦略の重要な一部となっています。加盟が実現すれば、より広範な路線網とサービスの提供が可能になるでしょう。
キャセイパシフィック航空の拒否権は加盟への最大の障壁となっている

スターラックス航空のワンワールド加盟にあたって最大の障壁となり得るのが、創設メンバーであるキャセイパシフィック航空の存在です。ワンワールドの創設メンバーであるアメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空、カンタス航空の4社は、新規航空会社の加盟申請に対して拒否権を持っています。
キャセイパシフィック航空は、地理的に近接している香港に拠点を置いており、台湾との航空市場で競合関係にあります。そのため、スターラックス航空の加盟に際して「周辺市場での競合関係」を理由に拒否権を発動する可能性が指摘されています。実際、過去には2019年にスカイチームから脱退した中国南方航空がワンワールドへの加盟を模索した際、キャセイパシフィック航空が拒否権を行使したとの見方もあります(公には明らかにされていません)。
しかし、キャセイパシフィック航空自体についても、相互資本提携関係のある中国国際航空の意向で「スターアライアンス」に移籍する噂が消えては出ていることも注目点です。キャセイパシフィックがスターアライアンスに移籍すれば、アジアでのワンワールドの縄張りを守るためにはスターラックス航空の加盟が必要になるという見方もできます。
また、ワンワールド自体がアジア市場でのシェア拡大を課題としている点も考慮する必要があります。キャセイパシフィック航空としても、アジア市場における「ワンワールド」のシェアを高めるためには、たとえ地理的に競合関係になり得る隣国の航空会社であっても、加盟してくれれば戦略的にメリットがあるとも考えられます。
こうした背景から、拒否権の行使は必ずしも確定的ではなく、むしろ積極的に拒否権を発動する必要性はあまりないのではという見方も広がっています。
ワンワールドはアジア系航空会社の加盟が少なく新規加盟に期待が高まる
ワンワールドには現在、アジア系の航空会社としてキャセイパシフィック航空、JAL、マレーシア航空、スリランカ航空の4社しか加盟していません。これは「スターアライアンス」に加盟するアジア系航空会社がエバー航空、ANAなど8社、「スカイチーム」に加盟するアジア系航空会社がチャイナエアライン、大韓航空など6社あることと比較すると、かなり少ない状況です。
このようにアジア系航空会社の加盟が少ないことは、かねてからワンワールドがアジア市場におけるシェアを思うように上げられない要因の一つとなっています。アジア市場は世界の航空業界において最も成長が期待される地域の一つであり、この市場でのシェア拡大はワンワールド全体にとって重要な課題です。
スターラックス航空のような成長中の航空会社がワンワールドに加わることで、アジア地域におけるワンワールドの路線網が拡充され、加盟航空会社間の接続性が向上することが期待されています。特に、スターラックス航空は台湾を拠点としながらも、東南アジアや北米への乗継便も運航しており、今後はヨーロッパへの就航も検討しているとされています。
また、スターラックス航空は格調高いサービスに定評があり、台湾の航空会社としては唯一ファーストクラスを導入していることも注目ポイントです。ワンワールドは一般的にプレミアムサービスを重視する航空会社が多いアライアンスであり、スターラックス航空のサービス志向とも合致しています。
ワンワールドにとってスターラックス航空の加盟は、アジア戦略の強化という点で大きな意味を持つ可能性があり、業界全体から高い関心を集めています。アジア市場でのプレゼンス拡大を目指すワンワールドにとって、スターラックス航空は魅力的な新規メンバー候補と言えるでしょう。
スターラックス航空加盟によってJALとの提携も実現する可能性がある
スターラックス航空がワンワールドに加盟すれば、同じワンワールドの加盟航空会社であるJALとの提携関係が構築される可能性が高まります。これはJALのマイレージプログラム「JALマイレージバンク」(JMB)の会員や、上級会員制度「JALグローバルクラブ」(JGC)のメンバーにとって大きなメリットとなるでしょう。
具体的には、JALのマイルでスターラックス航空の特典航空券が発券できるようになったり、スターラックス航空に搭乗することでJALのマイルを貯めることができるようになったりする可能性があります。また、JGCメンバーはスターラックス航空利用時にもステータス特典を受けられるようになると考えられます。
現在JALは日台路線において「スカイチーム」加盟のチャイナエアラインとコードシェアを実施しています。スターラックス航空がワンワールドに加盟した場合、日台路線のコードシェア相手がチャイナエアラインからスターラックス航空に変更される可能性も指摘されています。
ただし、JALはアライアンス外の航空会社とも積極的にコードシェアを実施している航空会社でもあります。そのため、スターラックス航空がワンワールドに加盟したとしても、当面の間はスターラックス航空との提携はマイレージの相互加算やラウンジの相互利用、インターライン契約にとどまり、日台路線では従来通りチャイナエアラインとのコードシェア運航が継続される可能性もあります。
いずれにしても、スターラックス航空のワンワールド加盟が実現し、JALとの提携が開始されれば、「台湾のエミレーツ航空」を目指しており格調高いサービスに定評のあるスターラックス航空は今まで以上に日本の旅行者にとって利用しやすい航空会社になるでしょう。特に高品質なサービスを求める旅行者にとって、新たな選択肢が増えることになります。
スターラックス航空が加盟すれば台湾は三大航空連合の航空会社が揃う国になる
スターラックス航空がワンワールドに加盟すれば、台湾は三大航空連合「スターアライアンス」、「ワンワールド」、「スカイチーム」加盟の航空会社が全て存在する国になります。これは2024年時点では、アメリカ合衆国1国のみが達成している状況です。
台湾にはすでに「スカイチーム」に加盟するチャイナエアライン、「スターアライアンス」に加盟するエバー航空という2社の大手航空会社が存在しています。これにスターラックス航空がワンワールドに加盟すれば、台湾はアメリカに次いで三大航空連合の加盟航空会社が揃う2国目となります。
このことは、台湾の航空市場の多様性と競争力を示すものであり、国際航空業界における台湾の位置づけを高める効果が期待できます。特に台湾のような国土が狭い国で三大航空連合加盟の航空会社が揃うのは異例のことであり、航空業界からも注目を集めることになるでしょう。
比較として、お隣の中国(香港・マカオ除く)でさえ、「スターアライアンス」加盟の航空会社と「スカイチーム」加盟の航空会社はあるものの、「ワンワールド」加盟の航空会社はありません。また、以前は英国でも三大航空連合加盟の航空会社が存在していましたが、2012年に「ワンワールド」加盟のブリティッシュ・エアウェイズに統合されて消滅したbmi(「スターアライアンス」加盟)の存在がなくなったため、現在は達成していません。
日本でも、かつてノースウエスト航空(デルタ航空に吸収合併)やKLMオランダ航空と提携していたJAS(日本エアシステム)がJALと経営統合せず存続していたり、あるいはスカイマークが会社再建時にデルタ航空傘下に入っていたなら、三大航空連合加盟の航空会社が全て揃っていた可能性もありました。
最近のキャセイパシフィックCEOの発言で加盟実現の可能性が高まっている
スターラックス航空のワンワールド加盟をめぐって注目すべき新展開がありました。キャセイパシフィック航空のRonald Lam CEOが、スターラックスの加盟について初めて公式にコメントしたのです。
このコメントで同CEOは「ワンワールドの経営陣に評価を任せるつもりです。ワンワールドはアライアンスにとって最善の提案をします。そして我々はそれを受け入れます」と述べました。この発言は、創設メンバーの特権である拒否権を行使しない可能性を示唆したものと解釈され、スターラックス航空の加盟が現実的な段階へ移行したと考えられています。
これまでキャセイパシフィック航空がスターラックス航空の加盟に否定的な立場を取るのではないかという見方が強かっただけに、このCEOの発言は大きな前進と言えるでしょう。両社は地理的に近接しており、市場が重複するため競合関係にあることから、キャセイパシフィック航空が拒否権を行使する可能性が指摘されていました。
しかし、ワンワールドはアジア系航空会社の加盟が少ないという課題を抱えており、アジア市場でのプレゼンス強化が急務となっています。そうした背景から、キャセイパシフィック航空としても、アジア市場におけるワンワールドのシェア拡大のために、スターラックス航空の加盟を受け入れる判断をした可能性があります。
また、キャセイパシフィック航空自体が中国国際航空との関係から「スターアライアンス」への移籍を検討しているという噂も、この判断に影響している可能性があります。いずれにせよ、キャセイパシフィックCEOの発言により、スターラックス航空のワンワールド加盟実現への期待が一段と高まったと言えるでしょう。

スターラックス航空のワンワールド加盟がもたらすメリットと今後の展望
- JALユーザーはスターラックス航空とマイレージの相互加算が可能になる
- ワンワールド加盟によってスターラックス航空の路線網が拡大する見込み
- スターラックス航空のファーストクラスサービスは高い評価を得ている
- スターラックス航空の沿革とエバー航空との関係性について
- 日本発着路線が多いスターラックス航空の特徴と利用メリット
- スターラックス航空のCOSMILEマイレージプログラムの概要
- まとめ:スターラックス航空のワンワールド加盟は2025年末が鍵となる
JALユーザーはスターラックス航空とマイレージの相互加算が可能になる
スターラックス航空がワンワールドに加盟した場合、JALユーザーにとって最も大きなメリットとなるのがマイレージの相互加算です。ワンワールド加盟航空会社間では基本的にマイレージプログラムの相互連携が行われるため、JALマイレージバンク(JMB)会員はスターラックス航空の搭乗でJALマイルを貯められるようになります。
また、JALマイルを使ってスターラックス航空の特典航空券を発券することも可能になるでしょう。現状では、スターラックス航空の特典航空券を取ることができるのはアラスカ航空のマイレージプログラムなど限られた手段しかありません。JALマイルで発券できるようになれば、多くの日本人旅行者にとって利便性が大幅に向上します。
さらにJALグローバルクラブ(JGC)会員などJALの上級会員は、スターラックス航空利用時にも優先チェックイン、優先搭乗、ラウンジ利用などのステータス特典を享受できるようになると予想されます。これはビジネス目的や頻繁に台湾を訪れる旅行者にとって大きなメリットとなるでしょう。
スターラックス航空のサービスレベルの高さを考えると、特にビジネスクラスやファーストクラスの特典航空券は人気が高まると予想されます。台北〜北米路線のビジネスクラスなど、長距離路線での利用価値は特に高いでしょう。
現在、アラスカマイルを使った場合、日本=台北間はスターラックス航空の特典航空券はエコノミークラスが片道7,500マイル~、ビジネスクラスが片道15,000マイル~で、サーチャージ無料となっています。JALマイルでも同様の水準で提供されるかどうかは不明ですが、新たな魅力的な特典航空券のオプションとなることは間違いないでしょう。
ワンワールド加盟によってスターラックス航空の路線網が拡大する見込み
スターラックス航空がワンワールドに加盟すれば、同アライアンスに所属する他の航空会社とのコードシェア提携が進み、実質的な路線網が大幅に拡大することが期待されます。現在スターラックス航空は30都市に就航していますが、ワンワールド全体では1,000以上の空港へのアクセスが可能になるでしょう。
特にJALとの提携により、日本国内の地方都市へのアクセスが向上すると考えられます。現状、日本から台湾へ行く場合、スターラックス航空の直行便で行ける都市は限られていますが、JALとのコードシェアが実現すれば、JALの国内線を利用して多くの日本の地方都市から台湾へのスムーズな移動が可能になります。
また、北米路線においてもアメリカン航空との提携が実現すれば、現在スターラックス航空が就航しているロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルだけでなく、アメリカ各地へのアクセスが容易になるでしょう。スターラックス航空は「台湾のエミレーツ航空」を目指しており、将来的にはヨーロッパへの就航も計画していると言われています。ワンワールド加盟によりブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空などとの提携が進めば、欧州路線の展開も加速する可能性があります。
さらに、ワンワールド加盟航空会社間での乗り継ぎがスムーズになることも大きなメリットです。最低接続時間(MCT)の短縮や、乗り継ぎ時の手荷物の自動転送(スルーチェックイン)なども実現すれば、旅行者の利便性が大幅に向上します。
現在スターラックス航空は2024年10月からアラスカ航空と初のコードシェア提携を開始しており、こうした経験を活かしてワンワールド加盟後も迅速に他社との提携を進めていくと予想されます。「台湾のエミレーツ航空」というビジョンの実現に向けて、ワンワールド加盟は重要なステップとなるでしょう。
スターラックス航空のファーストクラスサービスは高い評価を得ている

スターラックス航空は台湾の航空会社としては唯一ファーストクラスを設置しており、その高品質なサービスは多くの旅行者から注目を集めています。同社のA350-900型機には、ファーストクラス・ビジネスクラス・プレミアムエコノミークラス・エコノミークラスの4クラスが設置されています(A321neoとA330-900型機にはビジネスクラスとエコノミークラスの2クラス構成)。
特に注目すべきは、大阪~台北線にファーストクラスが設定されていることです。この路線には、長距離路線用でファーストクラスを設定したフラッグシップのエアバスA350-900XWBが投入されており、現在計11社が参入している同路線において唯一のファーストクラス設定便となっています。これは短距離国際線でファーストクラスを提供する珍しいケースであり、多くの航空ファンの関心を集めています。
スターラックス航空は「台湾のエミレーツ航空」を目指しており、そのブランドイメージに相応しい高級感あふれるキャビンデザインとサービスを提供しています。ビジネスクラスでも他社を上回る快適さとサービスクオリティを追求しており、プレミアム市場を重視する戦略を取っています。
機内食に関しても、チャイナエアライン系列の「華膳空廚」、エバー航空系列の「長榮空廚」の両社から供給を受けており、質の高いケータリングを提供しています。また、全機材に無料Wi-Fiサービス「Galactic Wi-Fi」を導入するなど、機内での快適性も重視しています。
ワンワールドはプレミアムサービスを重視する航空会社が多いアライアンスとして知られており、キャセイパシフィック航空やJAL、カタール航空など、高品質なサービスに定評のある航空会社が多く加盟しています。スターラックス航空のサービス志向はこうしたワンワールドの傾向とも合致しており、加盟が実現すれば相乗効果が期待できるでしょう。
スターラックス航空の沿革とエバー航空との関係性について
スターラックス航空の設立背景には、エバーグリーン・グループの経営権をめぐる家族間の確執が深く関わっています。同社は、エバーグリーン・グループの創業者である張栄発氏の死去により勃発した後継者争いで、エバー航空董事長の座を追われた張國煒氏により2018年5月2日に正式に設立されました。
張國煒氏はエバーグリーン・グループ創業者の張栄発氏の息子で、父親の死後に複数の結婚に起因する遺産争いで追放された経緯があります。彼は創業者の第二夫人の息子であり、創業者の第一夫人の子供たちによって追放されました。その追放方法は非常に屈辱的なもので、パイロットライセンスを持つ張國煒氏がエバー航空のためにシンガポールまで飛行していた際に解任され、帰りの便でパイロットとしての役割すら許されなかったとされています。
この経験から、張國煒氏は「復讐劇」とも言われる形で自らの航空会社を立ち上げることを決意しました。そして2020年1月23日に台北/桃園~マカオ、ダナン、ペナン線に就航し、正式な運行を開始したのです。スターラックス航空は「星宇航空」という中国語名を持ち、「星」はエバー航空の中国語名「長榮航空」の「榮」に含まれる「栄」(栄光の栄)の部分に対抗する意味合いも込められているとされています。
パイロットの資格を持つ張國煒氏は、スターラックス航空の初号機となるエアバスA321neoを2019年10月28日に自ら操縦して台湾に到着させるなど、航空会社の運営に直接関わっています。彼は「フェリーフライトは全機を自分で操縦する」とコメントしており、その後も多くの新規受領機を自ら操縦しています。
スターラックス航空は「台湾のエミレーツ航空」を目指すという高い志を掲げており、短期間で30都市に就航するなど急速に事業を拡大しています。2023年4月からはロサンゼルス便を開設し、同社初の北米路線となりました。2024年にはワイドボディ機のA350-900型機とA330-900型機の運用も拡大しており、着実に国際的な航空会社としての地位を築きつつあります。
日本発着路線が多いスターラックス航空の特徴と利用メリット
スターラックス航空は日本市場に積極的に進出しており、現在日本の11都市に就航しています。具体的には、東京(成田)、大阪(関西)、名古屋(中部)、福岡、那覇、札幌(新千歳)、仙台、熊本、函館、高松、神戸(チャーター便、2025年4月より運航予定)です。これは台湾の航空会社としては非常に多くの日本路線を持っていることを示しています。
特に注目すべきは、スターラックス航空が地方都市への就航にも積極的な点です。函館や高松といった日本の地方都市への路線を持つことで、これまで直行便の選択肢が限られていた地域の旅行者にとって新たな選択肢となっています。また、台北だけでなく台中発着の路線もあり、那覇、マカオ、ダナン、フーコック島などへのアクセスも提供しています。
スターラックス航空の日本路線の特徴として、大阪~台北線には長距離路線用でファーストクラスを設定したエアバスA350-900XWBが投入されており、同路線において唯一のファーストクラス設定便となっている点も挙げられます。ビジネスクラスも含めた上級クラスの質の高いサービスは、プレミアム需要を取り込む戦略の一環と言えるでしょう。
また、スターラックス航空は2023年にロサンゼルス・ドジャース及び、ロサンゼルス・クリッパーズのオフィシャルスポンサーに就任しており、ドジャースとは契約を3年延長して2024~2026年シーズンもスポンサーとなっています。日本人選手の大谷翔平選手が所属するドジャースとの関係は、日本市場での認知度向上にも寄与していると考えられます。
ワンワールド加盟が実現すれば、JALとの提携により日本国内の乗り継ぎがよりスムーズになることが期待されます。現状ではスターラックス航空単独での利用に限られていますが、JALとのインターライン・コードシェアにより、日本国内の多くの都市からの利便性が向上するでしょう。特にJALマイルでの特典航空券発券やJGCステータス特典の適用などにより、日本人旅行者にとっての魅力が大幅に高まると予想されます。
スターラックス航空のCOSMILEマイレージプログラムの概要
スターラックス航空は独自のマイレージプログラム「COSMILE」を運営しています。このプログラムは、スターラックス航空の搭乗でマイルを貯め、特典航空券やアップグレードなどの特典に交換できるシステムです。
「COSMILE」は台湾語の「行く、歩く」を意味する「Kiânn」(スターラックス航空の機内誌のタイトルでもあります)という概念を取り入れたものと考えられ、旅の喜びを共有するという企業理念を反映しています。会員ステータスには複数のランクがあり、搭乗実績に応じて上位のステータスを獲得できる仕組みとなっています。
COSMILEのユニークな特典の一つに「フライトシミュレーター体験特典」があります。これはマイルを使ってスターラックス航空のフライトシミュレーターを体験できるもので、航空ファンにとって魅力的な特典となっています。また「マイル&キャッシュ」オプションでは、マイルと現金を組み合わせて特典を利用することができます。
現状では、COSMILEは他の航空会社やホテル、クレジットカードなどとの提携が限られているため、マイルを貯めるには基本的にスターラックス航空に搭乗するか、提携クレジットカードを利用する必要があります。しかしスターラックス航空がワンワールドに加盟すれば、JALマイレージバンクを始めとするワンワールド加盟航空会社のマイレージプログラムとの相互連携が実現する可能性があります。
特にJALマイレージバンクとの連携が実現すれば、JALマイルをCOSMILEマイルに移行したり、逆にCOSMILEマイルをJALマイルに移行したりすることが可能になるかもしれません。また、スターラックス航空搭乗時にJALマイルを直接貯められるようになる可能性もあります。
さらに、ワンワールド加盟によりOneworld Emerald、Sapphire、Rubyという世界共通のステータスが適用されることで、COSMILE上級会員が他のワンワールド加盟航空会社を利用する際にもラウンジアクセスや優先チェックインなどの特典を享受できるようになるでしょう。これにより、COSMILEプログラムの価値と魅力が大きく高まることが期待されます。

まとめ:スターラックス航空のワンワールド加盟は2025年末が鍵となる
最後に記事のポイントをまとめます。
- スターラックス航空は2025年末までにワンワールドへの加盟申請を行う予定である
- ワンワールド創設メンバーであるキャセイパシフィック航空が拒否権を持っているが、最近のCEO発言では拒否権を行使しない可能性が示唆された
- スターラックス航空が加盟すれば、台湾はアメリカ合衆国に次いで二番目に三大航空連合の航空会社が全て揃う国となる
- JALユーザーはスターラックス航空搭乗でJALマイルが貯められるようになり、JALマイルでスターラックス航空の特典航空券が取得できるようになる
- ワンワールド加盟によりスターラックス航空の実質的な路線網が大幅に拡大し、乗り継ぎの利便性が向上する
- スターラックス航空は台湾の航空会社としては唯一ファーストクラスを提供しており、「台湾のエミレーツ航空」を目指す高品質なサービスが特徴
- スターラックス航空は2020年に就航した比較的新しい航空会社だが、エバー航空の前会長が新たに立ち上げた経緯がある
- 現在日本の11都市に就航しており、地方都市への路線も多く持つ
- 大阪~台北線には長距離路線用のA350-900XWBが投入され、同路線唯一のファーストクラス設定便となっている
- スターラックス航空の独自マイレージプログラム「COSMILE」は、ワンワールド加盟により他社プログラムとの連携可能性が広がる
- 北米路線も拡大中で、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルの3都市に就航しており、2025年6月からはオンタリオ(ロサンゼルス近郊)にも就航予定
- キャセイパシフィック航空がスターアライアンスに移籍する噂もあり、アジアにおけるワンワールドの体制が大きく変わる可能性もある